浄土宗 大窪山光久寺 

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 銭谷禅海師のみほとけ(仏画)の世界

 秋田県山本郡八峰町在住の禅海さんは、素晴らしい仏画を描かれます。漁業の傍ら仏画を描くのですが、その作品は美しく精緻であり、観る人の心を打つものであります。私たちを美しい仏の世界へ誘ってくれます。ご縁があり、当寺に何枚かゆずっていただきましたので、紹介します。 
 
平成24年8月29日付 北羽新報 


       地獄極楽絵図 

 禅海さんが描いた地獄極楽絵図です。針の山、血の池、
舌を抜かれる亡者、閻魔さまなどが描かれています。当寺
にある江戸中期の地国極楽絵図と比較して観ると興味深
いものがあります。
 
      薬師三尊十二神将図 

 中央に薬師如来、向かって右に日光、左に月光の両菩
薩、周囲に十二神将が描かれています。薬師如来は心身
の病を除いてくれる仏さまで、左手に薬壺を持っているの
が特徴です。日光・月光は薬師如来の息子で、日光菩薩
は仏の智慧を、月光菩薩は仏の慈悲を象徴しているとい
われます。十二神将は薬師如来の家来であり、昼夜四六
時中、衆生を守ることから、時間を表す十二支に配当され
、頭上に十二支の動物が描かれており、一人ひとりの神将
がきめ細かく描かれています。十二神将を従えた薬師三尊
は、なかなか観ることができないものです。
 
       阿弥陀来迎図 

 西方極楽浄土の教主である阿弥陀さまは、阿弥陀如来、
阿弥陀仏などの名で親しまれ、観音さまと共に日本で最も
親しまれている仏さまの一人です。無量寿仏、無量光仏と
もいわれ、限りない智慧と限りない慈悲を持った仏さまで
す。観音菩薩と勢至菩薩を従え、「阿弥陀三尊」と呼ばれ
ます。「南無阿弥陀仏」のお念仏を称えると、西方極楽浄
土から阿弥陀さまがたくさんの菩薩や聖者をひきつれて、
迎えに来てくれます。その様子を描いた絵図を「阿弥陀来
迎図」といいます。蓮華を持った観音菩薩と、合掌した勢
至菩薩を前にし、後ろに楽器を奏でる菩薩を従えて、阿弥
陀さまが山の上から迎えに来る様子を、禅海さんは淡い色
合いで描いています。
 
        釈迦三尊図 

 中央の仏さまは右手が施無畏印(せむいいん)、左手が
与願印(よがんいん)ですので、釈迦如来です。与願印は
立像では手を開いた状態でひざの方に垂らしますが、座像
ではひざの上に乗せています。釈迦如来は、悟りを開いた
お釈迦さまの姿を表したものです。
 文殊菩薩、普賢菩薩を従えたものを「釈迦三尊」といいま
す。文殊菩薩は大きな獅子に乗っております。「三人寄れ
ば文殊の知恵」ということわざがありますが、文殊菩薩は智
慧の仏さまとして親しまれています。
 文殊菩薩がお釈迦さまの智慧を表しているのに対し、普賢
菩薩はお釈迦さまの慈悲を表しています。普賢菩薩は真っ
白で6本の牙を持っている象に乗っております。お釈迦さま
が亡くなられた後、荒れ果ててしまったこの世界に6本の牙
がある白い象に乗った普賢さまが現れ、衆生を救ってくださ
ったとお経に書かれています。
 阿弥陀三尊図と釈迦三尊図を対比して観ると興味深いも
のがあります。
 
      阿弥陀三尊図 

 蓮の花を持った観音菩薩と合掌している勢至菩薩を従え
た阿弥陀さまです。これを「阿弥陀三尊」と呼びます。この図
では阿弥陀さまが座っておられますが、これは極楽浄土で
説法されている姿といわれます。これに対して、立っておら
れる姿は極楽浄土にお迎えに来られた姿といわれていま
す。禅海さんの阿弥陀三尊図は繊細なタッチと淡い色づか
いで、阿弥陀さまの万人を救うというやさしさがあふれてい
ます。
 
       地蔵菩薩半跏像図 

 山岳地帯の岩の上の蓮弁に座り、右手に錫杖、左手に宝
珠を持ち、左足を下げた半跏像です。全体的に茶褐色の淡
い色合いが、地蔵さまの優しさをかもし出しています。地蔵さ
まはお釈迦さまが亡くなられてから、次の仏になることになっ
ている弥勒菩薩がこの世に現れるまでの五十六億七千万年
の間、そこに生まれてくる人々を苦しみや悩みから救うため
にこの世に出現する菩薩です。
 
         慈母観音図 

 わが国では、平安時代のはじめころまでは薬師如来、それ
からしばらくは阿弥陀如来、中世の終わり頃から江戸時代を
へて、現在まで観音さまが人気を博しているようです。その
魅力はなんといっても、そのやさしさにあります。見た目から
も伝わってくるように、観音さまは慈悲の仏さまです。慈悲は
たびたび母親の子どもを思う気持ちに例えられ、慈母観音が
描かれるようになりました。禅海さんの慈母観音図には、幼
子を抱え、足下の子どもにやさしい眼差しをおくる観音さまの
姿が描かれています。禅海さんの描く観音さまには本当にや
さしさが満ちあふれています。
 
          花観音図 

 地蔵さまが男性的なのに対して、観音さまは女性的です
が、禅海さんの描く観音さまは本当に美しく、気品があり、お
慈悲にあふれています。禅海さんの観音さまに癒され、励ま
され、救われた人がたくさんおります。観音さまは世の人々
の救いを求める声に応じて直ちに救うので、また自由自在に
人々を救済することから観世音菩薩とか観自在菩薩とも呼
ばれます。信者の願望に従って、三十三の姿になって現れ
るといわれます。
 
               樹下観音

 白い花が咲く樹木の下に座する観音さまです。
お慈悲の仏さまである観音さまが、淡い色づかいで
優しく描かれています。
 
               龍頭観音

 
仏教では、釈迦が生誕した際に二匹の竜が清浄水を潅ぎ、
成道時に七日間の降雨を身に覆って守護しました。
仏教の守護神とされます。龍は聖獣の中でも王とされ、
これを観音の功徳にたとえたもので、観音さまの龍の
頭上に結跏趺坐、あるいは起立します。
禅海氏の龍頭観音は色鮮やかな龍の頭に起立しています。
 







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