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本尊 五智如来 |
本尊 五智如来五智如来の尊体は、像高162㎝、台座を含めると202㎝の五体の木像です。向かって右より、薬師、釈迦、阿弥陀、大日、多宝の各如来であります。作者不詳とされていますが、古文書にのこる記録によれば、秋田風土記には「慈覚大師五智如来を刻みてたつ云々」ともあり、「修行者の刻む山刀細工の五智如来」とも。江戸初期にはすでにまつられていたようです。昔より、天災地変からの守りと、海運の効験を祈ったのであります。巷説に、昔(江戸時代)寺が焼けた時、誰も五智如来を運ぶ人がいないのに、いつの間にか仏は、後方の山にのがれていました。地震の時にお汗をかくという言い伝えもありますが、実際に日本海中部沖地震ではお汗をかきました。また諸願成就をした話など霊験談が残っているのは仏のぬくもりを感じさせるものであります。 |
五智如来信仰 真言宗などの密教では、大日如来の智慧を五種に分け、これを「五智」といいます。この五つの智慧に方角と仏を配しました。つまり、大日如来(中央)、阿しゅく如来(東方)、宝生如来(南方)、阿弥陀如来(西方)、釈迦如来(北方)の五如来です。 当山では、阿弥陀如来を尊崇する浄土宗のため、中央に阿弥陀如来、向かって右に釈迦如来、薬師如来、左に大日如来、多宝如来を安置しております。 |
五智如来の仏さま |
薬師如来 仏像は、如来、菩薩、明王、天に大きく分類されます。如来は「さとった人」のことで、さとって仏になったお釈迦さまがモデルといわれ、ほとんどの如来は同じ顔、身体、服装をしています。如来の違いは手の形、印相(いんぞう)でわかります。 当寺五智如来の一番右側が薬師如来、お薬師さまです。左手に薬壺を持ち、右手は胸のあたりにあげ、開いたまま、掌を前に向けた形をしています。これを「施無畏印(せむいいん)」といいます。薬指を少し前に出しています。これは、人々の不安を去らせる合図です。薬師如来は現世利益の仏さまで、病気を治したり心身の健康を守る仏さまです。 |
釈迦如来 右から二番目が釈迦如来、お釈迦さまです。右手は薬師如来と同じ「施無畏印」ですが、中指を少し前に出しています。左手は軽く下にたれ、掌を前に向けた形で、中指を少し前に出しています。これを「与願印(みがんいん)」といいます。人々のもろもろの願いごとをかなえてくださる合図です。釈迦如来は人々をあらゆる苦悩から救い、人生の安らぎを与える仏です。 |
阿弥陀如来 中央が阿弥陀如来、阿弥陀さまです。右手を胸のあたりにあげ、掌を前に向け、親指と人差し指で環をつくっています。左手は軽く下にたれ、掌を前に向けて同じように親指と人差し指で環をつくっています。これを「阿弥陀定印(あみだじょういん)」といいます。阿弥陀如来は西方極楽浄土におられる仏さまで、「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えると、苦しみのない美しい極楽浄土に迎えてくれる仏さまです。浄土宗では最も大切な仏さまです。 |
大日如来 左側から二番目が大日如来です。如来さまは頭になにもかぶらず、衣も薄い、どれも非常に質素ですが、大日如来だけは立派な宝冠をかぶり、髪飾りをつけ、腕や胸にはリングをつけ、菩薩のような派手な姿です。これは、大日如来はあらゆる仏さまの中で、最高の位置にいるとされるためで、王様ですから如来であっても立派な格好をしているといわれます。忍者のような左手の人差し指を右手で覆いかくすような形をしています。これを「智拳印(ちけんいん)」といいます。仏さまの智慧そのものを表すといわれます。大日如来は、全宇宙を司る中心仏といわれます。<BRA> |
多宝如来 一番左側が多宝如来、多宝さまです。左手を下にしてその上に右手を重ね、親指と親指を軽く合わせています。この形を「禅定印(ぜんじょういん)」といい、身体と心を安らかな状態にしておこなう瞑想の深まりに入っていることを示す合図です。本来は亡くなられたあとに「法華経」というお経が正しいことを証明してくれる仏さまといわれますが、その名前から財宝をたくさん与えてくれる仏さまとして信仰されています。 |
五智如来の調査結果について(2014.7.30) |
教育庁文化財保護室 高橋正 |
・体の中心は一材、ヒノキか?(針葉樹一体幹部) 頭体幹部は企画の製材を使用。作風から当初より一具と考えられる。 外側に薄い板材をはぎあわせる。足先は別材。頭体幹部は一材(古様) ・製材を用いていることや、両体側に材を寄せていることなどからも、 江戸期と考えられる。 ・阿弥陀如来と釈迦如来の衣紋が特徴的である。 ・大日如来と多宝如来の耳のつくりが同じで、他の3体の耳のつくりが同じ。 |
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秋田県能代市 浄土宗大窪山光久寺 |